ロシア産原油の取引から大手業者が手を引く中、ほぼ無名の一握りの商社が売買や輸送を引き受けている。買い手のいなくなったロシア産原油を大幅な割引価格で買い取っているのは、パラマウント・エナジー・アンド・コモディティーズやコーラル・エナジーなどだ。初めて耳にする名前かもしれない。タンカーの大きさにもよるが、リスクと引き換えに1回原油を運ぶごとに2000万ドル(約25億4000万円)、あるいはそれ以上を稼げると業者らは話す。その金額は、ウクライナで戦争が始まる前の60万ドルから跳ね上がっている。こうした業者は、西側諸国がロシアに科した制裁に違反しているわけではない。欧州連合(EU)各国が自国企業に対してほぼ全面的に禁止しているのは、ロシア国営石油大手ロスネフチとの取引だ。スイスもなんらかの制限を科している。このため、世界大手のトラフィグラ・グループ、ビトル、グレンコア、ガンバー・グループなどは撤退を余儀なくされた。