イバン・ズドロベッツ氏は兵士の腕に巻かれた止血帯を注意深く調べた。「おめでとう。あなたはもう死んでいる」。こう兵士に伝え、隣に横たわっている男性のチェックに移った。検査を終え、「7割が死亡、3割が生存」との評価を下した。訓練に参加した兵士たちは「死者」も含めて皆、うなり声を上げた。ロシアによる侵攻を受け、ウクライナでは男女を問わず、軍隊での経験が事実上ない多くの国民が呼びかけに応じて国を守るために前線で戦っている。首都キーウのウクライナ政府に余力がなくなる中、その穴を埋めようと民間団体が志願兵の訓練に当たり、ロシア軍との戦いに備えさせている。ロシアが占拠する地域から約72キロ離れた南東部の都市ザポリージャでは戦闘が激化しており、志願兵が銃の撃ち方や負傷者の搬送、応急処置といった基本的な技術を期待通りに習得することがとりわけ急務となっている。