ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
モロッコってどんな国?
モロッコはアフリカ北部に位置する国で、アルジェリア、西サハラと国境を接しています。
国土の中央を東西に走るアトラス山脈は、アフリカ大陸の中では珍しい地殻運動の活発な比較的新しい地質時代の山脈です。その最高峰は4000mを超え、周辺では地震も多発します。
この山脈の北側、地中海沿岸は温暖な地中海性気候のもとにあり、首都ラバトや最大都市カサブランカなど、多くの都市が分布しています。
ジブラルタル海峡を挟んでスペインと向かい合う位置にあり、フェリーで渡航できます。南の内陸部に入るほど、降水量が減り、乾燥します。
1912年からスペインとフランスに領有されていましたが、1956年に王国として独立。現在でも、地中海海岸にはスペイン領の都市が残っています。
2011年、周辺各国で起きた民主化の動きを受けて、王に対して首相の権限を拡大する憲法改正が行われました。
西サハラの帰属問題は未解決
外交では、アラブとアフリカの諸国、また最大の貿易相手国のあるヨーロッパやアメリカとも関係維持に力を注いでいます。
一方で、東隣のアルジェリアとは、主に西サハラの領有問題を巡って数十年にわたり緊張した関係にあり、両国の国境は1994年以来閉鎖されています。
さらに、2021年にアルジェリアが、モロッコに対して国交断絶を宣言しました。
麦類、オリーブ、果実を生産する農業と、りん鉱石を中心とする鉱業、それに漁業や観光が経済を支えています。
モロッコ王国
面積:44.6万㎢ 首都:ラバト
人口:3656.2万 通貨:モロッコ=ディルハム
言語:アラビア語(公用語)、アマジグ語(公用語)、フランス語
宗教:イスラーム(国教)スンニ派99%
隣接:アルジェリア、西サハラ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)