ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
コソボってどんな国?
コソボはバルカン半島中央部に位置し、セルビア、北マケドニア、アルバニア、モンテネグロの4ヵ国に囲まれた内陸国です。
国土は東部のコソボ地域と、西部のメトヒヤ地域に大きく分けられます。コソボ地域は標高1100mを超す高地で、メトヒヤ地域は標高500m程度の盆地です。最高峰はアルバニアとモンテネグロとの国境に位置するディエラヴィツァ山(2656m)です。
バルカン半島で最も若い国
かつてはセルビアの自治州でしたが、人口の約90%をアルバニア人が占め、少数派のセルビア人と激しく対立していました。
1990年代後半には、アルバニア人によるコソボ解放軍と、ユーゴスラビア軍及びセルビア人勢力との間で紛争となり、NATOが介入するも多くの犠牲者を出しました。
2008年に独立を宣言しましたが、ロシアや中国が認めず、国連にはいまだ加盟できていません。EUやNATO、国連など国際機関への復帰を目指しています。
コソボは、旧ユーゴで最も開発が遅れた地域で、旧ユーゴやセルビアからの援助に依存していたため、自立的な経済構造を有していません。主要産業の農業は小規模な家族経営が大半で、褐炭、亜鉛等の鉱物資源を有しますが、設備投資が滞っています。
恒常的な貿易赤字と税収不足、電力不足、若年層を中心とする大量の失業など課題が山積し、住民の多くは海外移民からの送金、外国援助に依存しています。
コソボ共和国
面積:1.1万㎢ 首都:プリシュティナ
人口:193.5万 通貨:ユーロ
言語:アルバニア語(公用語)、セルビア語(公用語)、ボスニア語
宗教:イスラーム95.6%
隣接:セルビア、北マケドニア、アルバニア、モンテネグロ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)