ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「スペインってどんな国?」2分で学ぶ国際社会イベリア半島

スペインってどんな国?

 スペインは、ヨーロッパ大陸南西端に位置するイベリア半島の大部分を占める国です。北東部はフランス、アンドラと国境を接し、西部はポルトガル、南部はジブラルタルと国境を接します。

 地中海に面するスペインでは、夏の高温と乾燥という地中海性気候を生かした地中海式農業が盛んです。オリーブの生産量やぶどうの作付面積は世界一(2018年)です。

 地中海沿岸では稲作が行われている地域もあり、海や山の幸をたっぷり使ったお米料理「パエリア」が有名です。

 また、コルクがしの原生林ではイベリコ豚が放牧され、そこでどんぐりや草の根を食べて育ったイベリコ豚の生ハムは、栄養価が高く世界最高のハムといわれ、日本にも多く輸出されています。

 一方で、雨が少なく日射量が多い気候と農業に適さない乾燥した広大な荒地が多いスペインは、再生可能エネルギーによる発電に適しています。風力発電や大規模な太陽電池を並べた太陽光発電、またたくさんの反射鏡で太陽熱を集める太陽熱発電を積極的に導入しています。

 主要産業は自動車、食品加工、化学品などです。鉱産資源の産出量は多くありませんが、種類は豊富で、レアメタル(希少金属)のストロンチウムの生産量が世界一です(2018年)。

多くの世界遺産と情熱的な祭り

 観光業も重要で、2019年の観光客数は世界第2位という観光大国でもあります。

 世界遺産の登録数は2021年時点で49ヵ所と世界第4位です。アルハンブラ宮殿のある南部の都市グラナダや、サグラダ・ファミリアに代表されるガウディ作品が見られる北東部の都市バルセロナには世界各地から観光客が訪れます。

 文化面では、フラメンコや闘牛などの伝統文化が有名です。「牛追い祭り」とも呼ばれるサン・フェルミン祭では、人々と闘牛が街を駆け抜けます。

「トマト祭り」のラ・トマティーナは、参加者がトマトをぶつけ合うことで有名です。

 そのほか、サッカーが盛んで、人気クラブのFCバルセロナとレアル・マドリードCFが戦う試合は、世界中の注目を集めます。

「スペインってどんな国?」2分で学ぶ国際社会トマト祭り Photo: Adobe Stock

地方ごとの公用語と独立問題

 スペインは17の自治州と2つの自治都市で構成される国家です。

 地域色が強く、それぞれの地方で独立した言語が使われます。標準的なスペイン語は中部のカスティーリャ語ですが、北部のバスク語、北東部のカタルーニャ語、北西部のガリシア語などがあり、各地の公用語となっています。

 このため、地方分権志向が強く、自治権拡大の方向にあります。とくにバスク、カタルーニャ両地方の中央政府に対する反発が歴史的に強いです。2017年には、カタルーニャ州(州都バルセロナ)が独立住民投票を実施し、独立賛成票が約9割を占めると、中央政府がカタルーニャ州政府の自治権を一時制限するといった対抗措置をとり、対立が激化しました。

スペイン王国

面積:50.5万㎢ 首都:マドリード
人口:4726.1万 通貨:ユーロ
言語:スペイン語(公用語)
宗教:カトリック58.2%
隣接:フランス、アンドラ、ポルトガル、ジブラルタル

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)