ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。新刊『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「リビアってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

リビアってどんな国?

 リビアはアフリカ北部に位置し、地中海に面する国です。東部のエジプト、西部のチュニジアとアルジェリアに挟まれます。南部は、スーダン、チャド、ニジェールと国境を接しています。

 古代、地中海沿岸からわたってきたフェニキア人が植民都市を築いた頃からの長い歴史をもちます。

 16世紀からオスマン帝国の支配が続き、20世紀初頭に地中海を隔てて対岸に位置するイタリアが侵攻し、植民地としました。第二次世界大戦中にイギリスとフランスの共同統治を受けましたが、1951年に連邦制の王国として独立しました。

 1969年に、軍人のカダフィが主導するクーデターによって共和国が成立し、社会主義とアラブ民族主義にもとづく国づくりが進められました。

 1970年代には国際石油資本の石油会社を国有化し、1980年代には国際的なテロ事件を起こすなどして欧米と激しく対立しました。

 2011年に、西隣のチュニジアでジャスミン革命が勃発すると、反政府運動がリビアでも盛り上がり、内戦に発展。42年間に及んだカダフィ独裁政権は崩壊しました。しかし、その後も国内の勢力間の対立は続いています。

石油と天然ガスへの依存度が高い経済

 温暖な気候のもとにある北部地中海沿岸以外は、国土の8割以上が砂漠で、農耕地は国土の1%ほどに過ぎません。内陸の砂漠地帯で1959年に発見された石油の埋蔵量は、アフリカ最大です。

 輸出の9割を石油と天然ガスが占める一方で、輸入の8割以上が工業製品であり、石油収入に強く依存した経済になっています。

「リビアってどんな国?」2分で学ぶ国際社会アフリカ北部

リビア

面積:176.0万㎢ 首都:トリポリ
人口:701.7万 通貨:リビア=ディナール
言語:アラビア語(公用語)、アマジグ語、イタリア語、英語
宗教:イスラーム(国教、実質的にすべてスンニ派)96.6%
隣接:エジプト、スーダン、チャド、ニジェール、アルジェリア、チュニジア

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)