発車を告げるホイッスルが鳴った。急いで残りの乗客を列車に乗せなければならない。列車のスタッフは車いすの人の乗車を手伝い、ウクライナの前線で活動する慈善団体のボランティアは病人や高齢者を担架に乗せて運んだ。人々は西に向かう家族に別れのあいさつをすると、手を振って見送った。ポクロフスクはウクライナ軍とロシア軍が激しい戦闘を行っている前線からおよそ50キロしか離れていない。ウクライナ東部ドンバス地方の戦闘地域からの脱出に利用できる数少ない出口の一つだ。毎日午後4時半、無料の退避列車がアウディーウカやスラビャンスク、ライホロドクなど攻撃で破壊された町の住民をドニプロや首都キーウ、さらに西のリビウに運んでいる。