米国の金利上昇と中国の景気減速が、世界で最も高額な住宅市場にダブルパンチを浴びせそうだ。先進諸国の金利上昇により、過去10年にわたり低金利の住宅ローンで活況だった世界中の住宅市場はリスクにさらされている。土地に飢えた香港でさえ――世界で最も高額な不動産市場との怪しげなレッテルを長いこと貼られてきた――もはや重力に逆らうことは難しいかもしれない。香港の金融政策は米連邦準備制度理事会(FRB)の影響を大きく受ける。ドルペッグ(連動)制を採っているためで、国際的な金融拠点たらしめる香港の魅力の土台となっている。米国で金利が上昇すれば、香港も金利を上げざるを得なくなる。低金利のままなら資本流出を招く恐れがあり、ペッグ制を圧迫する可能性がある。FRBによる前回の利上げサイクル(2016~18年)では、香港の金利は米国の金利に緊密に連動し、それは新型コロナウイルス流行で各国の中央銀行が2020年に再び緩和モードに突入するまで続いた。