国から新型コロナウイルス対策の持続化給付金9億6000万円以上が詐取されたとみられる事件で、インドネシア当局は8日(日本時間)、グループ主犯格の谷口光弘容疑者(47)=詐欺容疑で指名手配=を不法滞在の疑いで逮捕した。近く日本へ移送され、警視庁捜査2課が全容解明を進める。持続化給付金を巡っては今月に入り、現職の国税局職員が絡む被害総額2億円の事件も発覚した。給付金は困窮する事業者を救済するため簡易な手続きで受け付けていたが、そこにつけ込んだ詐欺が横行。しかしここに来て、全国の警察が詐欺師たちを追い詰めている。(事件ジャーナリスト 戸田一法)
虚偽申請数は約1800件
セミナーなどで想定問答も指南
谷口容疑者の指名手配容疑は2020年6~8月、元妻の梨恵容疑者(45)や長男の大祈容疑者(22)、次男(21)=当時19歳のため氏名非公表=と共謀。兵庫県の50代男性会社員ら3人に受給資格がないのに申請させ、計300万円をだまし取ったとされる。
全国紙社会部デスクによると、谷口一家を中心にした詐欺グループは同5~9月、36都道府県で1800件近くの虚偽申請をし、総額9億6000万円以上をだまし取ったとされる。事件に関与したメンバーは、少なくとも十数人いるとみられる。
谷口容疑者らはSNSやセミナーを開いて虚偽の申請者を募集し、手続きを代行。メールやインターネットで「収入がゼロになった」などとうそを申告し、1件当たり十数~数十万円の手数料を受け取っていた。