肝臓Photo:123RF

 実際の年齢に関係なく、肝臓の年齢は常に3歳未満であることが、新たな研究で明らかにされた。これは、肝臓では絶えず新しい細胞への入れ替わりが起きているためだという。ドレスデン工科大学再生医療センター(ドイツ)のOlaf Bergmann氏らが実施したこの研究の結果は、「Cell Systems」に5月31日発表された。

 肝臓は、代謝の際に生じた有害な物質を毒性の低い物質に変えるという重要な解毒作用を持つが、頻繁に毒性物質に曝されることが原因で傷害を受けやすい。そのため、肝臓には傷ついた細胞を生まれ変わらせるというユニークな機能が備わっている。しかし、細胞がどの程度のスパンで入れ替わるのか、また、この機能が加齢に伴い低下するのかどうかについては明らかになっていない。

 そこでBergmann氏らは、遺跡から出土した遺物や生物の遺骸の年代測定などに利用されている放射性炭素年代測定法(14C年代測定法)を使って、20歳から84歳の間に死亡した人々の肝臓の年齢を測定した。この方法では、肝細胞のDNAに含まれている炭素14濃度を測定し、基準となる大気中の炭素14濃度と比較することで年齢を割り出す。同氏は、「肝臓の細胞が長寿である可能性を指摘する研究報告もあれば、定期的に入れ替わることを示す研究報告もある。われわれにとっては、人間の体で何が起こっているのかを知りたいのなら、年齢を直接測定する方法を見つける必要があることは明らかだった」と振り返る。