「トップガン」続編快進撃、劇場とストリーミングのいいとこ取りPhoto:Ken Ishii/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 まもなく60歳になる俳優トム・クルーズは、劇場映画の重要な指標である「観客動員水準の維持」で並み居るスーパーヒーローやジェームズ・ボンドを上回る記録を出している。

 クルーズ主演の映画「トップガン マーヴェリック」は先週末、世界興行収入10億ドル(約1367億円)を突破し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)発生以降10億ドル超えを達成した2番目の劇場公開映画となった。また、ボックスオフィス・モジョのデータによると、公開後5週間の全米興行収入の週間平均減少率は29%と、高水準の観客数を維持している。コミックのスーパーヒーローを題材にした直近の劇場公開映画5作品は、公開後5週間の興行収入減少率が週平均46%。ジェームズ・ボンド役としてダニエル・クレイグの最後の出演作となった「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の昨年11月の公開後5週間の減少率は、週平均40%だった。

「トップガン」最新作は、36年前の米ソ冷戦時代のヒット作の続編であり、この映画がどの程度成功するかは決して定かではなかった。だが、この作品は、コミック原作映画の最新作を観るために既に映画館に戻っていた人たち以外に、多くの大衆を呼び込むことに成功しているようだ。映画館チェーン大手シネマーク・ホールディングスのメリッサ・トーマス最高財務責任者(CFO)は、今月初めに行われた投資家との会合で、「『トップガン』を鑑賞しに来場した客の25%超は過去1年間にシネマークの劇場に来たことがなく、そのうち30%超が55歳より上だった」ことを明らかにした。