コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は任天堂、ネクソンなどの「ゲーム」業界5社について解説する。ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
四半期増収率では
カプコンの「独り負け」に見えるが…
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のゲーム業界5社。対象期間は2022年1~3月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・任天堂
増収率:5.8%(四半期の売上高3751億円)
・ネクソン
増収率:3.1%(四半期の売上収益910億円)
・バンダイナムコホールディングス
増収率:32.2%(四半期の売上高2610億円)
・カプコン
増収率:マイナス28.1%(四半期の売上高219億円)
・スクウェア・エニックス・ホールディングス
増収率:16.2%(四半期の売上高916億円)
※任天堂、バンダイナムコホールディングス、カプコン、スクウェア・エニックス・ホールディングスは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
ゲーム業界5社では、カプコンだけが前年同期比で2ケタ減収、残る4社は増収となった。
だが、通期決算に目を向けると、また違った構図が見えてくる(12月決算のネクソンは除く)。
上半期の“貯金”があるカプコンをはじめ、バンダイナムコホールディングス、スクウェア・エニックス・ホールディングスの3社が「過去最高決算」を成し遂げた一方、ゲーム業界の盟主である任天堂だけが減収に陥っていたのだ。
その裏側で、任天堂に起きていた“ある異変”とは――。
次ページ以降では、その内容を明らかにするとともに、各社の増収率の推移を紹介する。