2026年度補正予算案などについて、記者団の取材に応じる高市早苗首相=5月25日 Photo:JIJI
電気・ガス補助も7~9月めどに再開
供給不足・モノ不足への対応必要
米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃が始まって3カ月半がたつが、米国とイランの停戦合意後の和平交渉は難航し、ホルムズ海峡の事実上の封鎖状態は続いたままだ。
5月29日には、「60日停戦延長の暫定合意」が一部で報じられたが、イラン側は否定している。
トランプ政権は、イランへの再攻撃も示唆している。
原油価格(WTI先物取引価格)は、一時119ドル/バレルまで上昇し、その後、和平交渉などの動きで下落したこともあったが、再び上昇基調で、いまも軍事攻撃前の2月の水準(60ドル/バレル台)を大きく上回って推移している。
当社は、夏ごろまでに中東での戦争が収束するという想定のもと、原油価格は当面100ドル/バレル前後で推移し、その後緩やかに低下すると予想しているが、中東情勢を巡る不透明感は依然として高い。
高市政権は、エネルギー価格高騰対策として、3月19日から、ガソリン補助制度をスタートさせ、それによって、店頭価格が170円/L程度に抑えられている。
夏以降には電気・ガス代にも価格上昇の波が広がると見込まれることから、7~9月期をめどに電気・ガス代補助を再開する方向で、補正予算の編成が検討されている。高市政権の緩和的な財政スタンスを考えると、ガソリン価格も含めて、補助金による物価高対策はなお続きそうだ。
こうした補助金には、「今後さらに価格が上昇するかもしれない」という不安から生じる混乱を抑制する意義があるほか、原油高による一時的な景気下押し圧力を和らげることで、経済のスタグフレーションを防ぐことができるメリットがある。
ただし、補助金には財政懸念の高まりや省エネなどのインセンティブが働かないことによる原材料不足の助長といったリスクもあるだけに、政策の実行に当たっては慎重な判断が求められる。
補助金の財源を巡る市場との丁寧なコミュニケーションはもちろん、すでにナフサ不足の声が高まるなか、中東危機がさらに長期化し、本格的なモノ不足に陥った場合に備えて、政府は原油や関連製品の節約に向けた「プランB」を用意しておく必要がある。
近年、国際秩序は混迷を極め、地政学的なショックが頻発している。こうした潮流を踏まえれば、より長期の視点から、補助金頼りの場当たり的な対応に終始することなく、「レジリエントな経済体制への転換」という大きな課題に取り組むべきだ。







