スペイン・マドリードで開催されたNATO首脳会議に出席した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領スペイン・マドリードで開催されたNATO首脳会議に出席した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領 Photo:NurPhoto/gettyimages

尹錫悦政権で
進む中国離れ

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領時代の韓国は、「安保は米国、経済は中国」を基本政策としてきた。しかし、その現実は、安全保障面でも中国の影響力から抜け出せなかった。

 THAAD(高高度ミサイル防衛システム)の配備に対し、中国から経済的な報復を受けると、韓国は「THAADの追加配備はしない、米国のミサイル防衛網には入らない、日米韓の軍事同盟化は推進しない」という三不政策を堅持すると説明し、韓国の安保主権を放棄するような愚策に出たのである。

 文在寅政権が中国に卑屈な姿勢を示してきた理由は大きく2つある。

 一つ目は、韓国の輸出の4分の1が中国向けであり、経済的に中国への依存度が極めて高いことだ。このため中国から報復を受けるとその代価が極めて高い。

 二つ目は、北朝鮮に対する中国の影響力は大きいので、北朝鮮との関係改善には中国の支援が必要と考えていたことである。