言うまでもなく、米国がリセッション(景気後退)に陥る可能性はある。だが、誰もが正常と考える経済状態から程遠い中、一部の経済モデルや経験則に基づいて景気後退は近いと考えるのは間違いかもしれない。同じことは、景気後退リスクがまだかなり低いことを示す経済指標を信用し過ぎることにも言えるだろう。新型コロナウイルス禍は経済に大きな歪み(ゆがみ)をもたらした。コロナ感染症への懸念は和らぎつつあるものの、そうした歪みの多くは残ったままだ。米国の雇用者数はコロナ禍前をなお下回るが、労働力人口にまだ戻っていない人が多いため、失業率は50余年ぶりの低水準近辺にある。支出減少と政府支援のおかげで、家計貯蓄は過去最高水準に積み上がった。米連邦準備制度理事会(FRB)の統計によると、家計が保有する現金・現金同等物は1-3月期の時点で、2年前から30%増えた。
米景気後退の予測、コロナ前モデルは通用せず
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