米国経済は第2次世界大戦以降12回のリセッション(景気後退)を経験したが、いずれも二つの特徴があった。国内総生産(GDP)の縮小と失業率の上昇だ。しかし今、極めて異例な事態が起こっている。GDPは1-3月期(第1四半期)にマイナスとなり、4-6月期(第2四半期)も再びマイナスになる兆候を示している。しかし、上半期の雇用市場には、失速の兆しはほとんど見られなかった。失業率は昨年12月の4%から5月には3.6%に低下した。これは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に絡む経済の異常な軌跡における奇妙なねじれの最新例であり、リセッションについて熟考している人たちにとっては謎だ。米国がリセッションに陥っているか、あるいは近い状態にあるとすれば、過去のどのリセッションとも異なる様相を呈している。