米ドルと日本円の2019年4月における
1日平均の為替取引量

米ドルと日本円の2019年4月における1日平均の為替取引量出所:国際決済銀行(BIS)

 日本銀行が6月上旬に公表した国内企業物価指数は、前年同月比で約9%の上昇となった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰の影響もあるが、円安の影響も大きい。この状況下、米国と日本の金利差拡大が円ドルレートに影響を及ぼし、円安の圧力を高めているとの指摘が有識者の間で増えてきた。

 米国と日本の金利差が拡大しているのは、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制のための金融引き締めで利上げを段階的に進めている一方、当分の間、日銀が金利を低位に据え置き、金融緩和を継続する姿勢を明らかにしているためである。

 問題は今後急激な円安が進行した場合、日本政府が打つ政策手段が限られていることではないか。一つの手段は「円買い・ドル売り」の為替介入だが、筆者はその効果に少々疑問を持っている。