1ドル140円近づくドル円相場、円安是正の「利上げ」論は異次元緩和と同じ過ちPhoto:JIJI

プラザ合意からの円高トレンド
2011年の震災を機に終了

 円が四半世紀ぶりの水準にまで下落し、1ドル=140円に近づこうとしているが、それでも円安の流れが止まらない。永久に円が安くなるということはないだろうが、かつて円が高値を更新していたころとは、明らかに状況が変わっている。為替の長期的なトレンドとしての、1985年のプラザ合意以降の円高の流れは、2011年までで終わったと考えるべきだ。

 プラザ合意以降は、日本が恒常的に巨額の貿易黒字を計上していることを背景に、円高・ドル安のトレンドが続いていた。しかし、2011年3月の東日本大震災以降は、こうした黒字構造が変わってくる。東日本大震災によって、国内のサプライチェーンが寸断され、自動車など主要な輸出産業の生産がストップし、輸出ができなくなってしまった。

 サプライチェーンが復旧するにつれて、生産と輸出は回復したものの、2011年の貿易収支は久方ぶりに赤字を計上することとなった。その後は、貿易収支が再び黒字に戻ることもあったが、2011年以前のように恒常的に黒字が続くということはなくなった。

 結果として、2012年以降、円が高値を更新することもなくなり、プラザ合意以降、長く続いた円高トレンドが終わった。これが、最近の円安をもたらしている大きな環境変化だ。