銅価格が約2年ぶりの安値に沈んでいる。背景には、投資家のリセッション(景気後退)への懸念が高まっていることがある。
銅先物は6日、中心限月がポンド当たり3.408ドルと、2020年11月以来の安値で終えた。このまま行けば、5週連続の下落となる見通しだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに加え、銅の主要消費国である中国でコロナ封鎖措置からの景気回復がもたついており、需要減退の思惑から売りが膨らんでいる。銅価格は世界の産業見通しに敏感なため、経済の健全性を見極める「医者」の役割を果たすとも言われている。
銅の取引を手じまう動きも広がる。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータ(6月28日終了週)によると、ヘッジファンドなど投機筋は銅の売り越しに転じた。これに伴い、持ち高は約2年ぶりの水準に落ち込んだ。
銅価格は今年に入り、最高値を更新。ウクライナでの戦争や金属の主要生産国であるロシアへの制裁発動に絡む供給面での懸念が相場を押し上げていた。それ以降は約3割値下がりしている。足元では、景気後退への警戒から株・債券・コモディティー(商品)に売り圧力がかかっている。国際情勢の悪化に加え、コロナ再流行のリスクで、弱含みの中国経済の先行きを不安視する声も根強い。