――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
景気後退がデトロイトを襲うことはあまり心配しなくていい。本当に懸念すべきは、供給の正常化である。
米国の新車市場は低調ながらも収益性の高い状態が続いている。メーカーが生産で苦労しているためだ。ゼネラル・モーターズ(GM)は1日、部品不足でディーラーへの納入が抑えられていることを理由に、第2四半期(4-6月期)の利益予想を下方修正した。調査会社ワーズ・インテリジェンスによると、市場全体の上半期の販売台数は約680万台で、前年同期比17%減となった。
市場シェアは消費者の希望よりも車の入手しやすさに左右されている。トヨタは米国の販売台数で昨年初めてGMを上回り、今年第1四半期も首位の座を維持したが、これはトヨタが調達難にうまく対処したためだ。直近3カ月ではGMがトップに返り咲いた。
供給の制約は、ディーラーやメーカーにとって驚くほど有益な状況を生み出している。販売される新車が少ない中、平均価格は6月に4万5800ドル(約620万円)となり、過去最高を更新した(JDパワー調べ)。割を食っているのは、消費者と、長期契約に縛られている部品メーカーだ。