相手に寄り添ったひと言さえあれば、その言葉は相手の心に必ず響きます。長くリクルートで求人広告の営業をした経験を生かし、現在はコミュニケーション・アドバイザーとして企業研修等で活躍する森優子氏の新著『感じのいい人は、この「ひと言」で好かれる』からの一部抜粋。ちょっとした「ひと言」をプラスして、気持ちが伝わる言葉に変えるコツをご紹介していきます。
申し訳ございません。
お値引きできないんです
↓
申し訳ございません。
私が社長だったら、
半額にするのですが
お客さまの要望を受け入れられないことは最もつらい部分でもあります。
私も、お客さまの要望を受け入れたくてもできず、困った経験が何度かありました。大抵それは、求人広告を出したにもかかわらず応募者が少ないときに起こります。お金を払いたくないという無理な要望の電話がかかってくるのです。最初の頃はただただ謝罪するしかできませんでした。
そこであるとき、正直な気持ちを言ってみたのです。「私が社長だったら、半額にするのですが」と。すると、あきらかに今までとは違ったお客さまの反応が見られたのです。「確かにそうだね」「こっちも無理だとわかっていても、一応言ってみただけだから」とやわらいだのです。中には「そしたら森さん早く社長になってよ」と、笑いながら言ってくれる会社もありました。それからは、無理難題を要望するお客さまが現れても、「私が社長だったら」仮説でお客さまの心を掴んで取引を継続していきました。
「私が社長だったら、半額にするのですが」「私が社長だったら、次回は無料にします」と、仮説ならいくらでもサービスを作ることができますね(笑)。
もちろん、お客さまのクレーム状況に対して真摯にお詫びをしたうえでの仮説です。時にはユーモアを感じさせる仮説で、お客さまの無理な要望を乗り越えましょう。