乗客の暴言は日常茶飯事、元駅員が教える「メンタルを保つ仕事術」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

小さなトラブルから大きなニュースに発展するものまで、駅員の元に寄せられるクレームや不満は後を絶たない。罵詈(ばり)雑言を浴びせられることも多い駅員たちは、どのようにして乗客に対応し、メンタルを維持しているのか。(清談社 藤野ゆり)

「死ね」「バカ」と暴言を浴びることも
理不尽な乗客にもきぜんと対応

 遅延や忘れ物、酔っぱらいの対応などの日常的なものから、人身事故、痴漢、乗客同士のけんかまで、電車内や駅構内でトラブルが発生した際、真っ先に対応するのは警察ではなく駅員だ。一人の駅員に多数のクレームが集中することも少なくない。不可抗力だらけの日々で、駅員はどうやってメンタルを保っているのだろうか。

「理不尽な態度や暴言は日常茶飯事。ときには『死ね』『バカ』と言われることもありました。聞き流さないとやっていられません」

 そう笑って話すのは『怒鳴られ駅員のメンタル非常ボタン 小さな事件は通常運転です』(KADOKAWA)を上梓した、元駅員の綿貫渉さん。現在は交通系YouTuberとして活躍している。

「倒れている人がいます!と乗客に呼ばれて見に行ったら、70代くらいの男性が酔っぱらってホームで寝ている。それだけならよくある光景ですが、その男性はなぜかズボンが脱げていて局部が丸見えだったんです。自分で吐いたと思われる吐しゃ物まみれの男性を起こしてズボンをはかせ、手を貸して案内したものの、さすがに私はなんでこんなことをしているんだろう、という気持ちになったことがあります(笑)」

 綿貫さんが配属されていたのは、1日10万人前後が利用する駅。特殊な乗客と対峙しなければならない場合もあったという。