突然の訃報に中国も衝撃、特別な存在だった
本来は平々凡々な一日だったはずの7月8日は、慌ただしく過ごした日となった。
安倍晋三元首相が銃撃され、心肺停止というニュース速報が入り、私はすぐ手元の仕事をすべて後回しにして、情報の収集に努めた。
まもなく中国のメディア数社からインタビューの要請が来た。夕方頃、中国の主要通信社の1社である中国新聞社から、安倍元首相死亡をテーマにした直播(アプリによるライブ配信)番組の出演を打診された。出演を引き受けてからは、動画アプリの使い方をあわただしく学んで、着替えやスマホの設置などの雑事を片付けたら、もう放送開始の直前だ。放送を事前に周知する時間の余裕もないまま、ライブ配信番組の出演に突入した。
ライブ配信は北京時間19時(日本時間20時)から始まった。ゲストは前「環球時報」編集長胡錫進氏と日本在住の私だけだった。放送が始まって15分もしない間に、視聴者数が15万人に達し、90分間の放送で、のべ625万人以上が視聴したという。安倍元首相の死去に対する中国国民の関心の高さが確認できた思いがした。
安倍氏が凶弾に倒れるなんて、もちろん予想できなかった。深夜、女性1人でも街を歩ける日本は世界でもっとも安全な国の一つと信じていただけに、大きなショックを覚えた。そして発砲した容疑者に怒りを感じる。中国新聞社のライブ配信でも、私だけではなく、いつもは日本を下に見る胡氏も、終始そのトーンを保っていた。
安倍氏については、私は特別な思い出がある。