「カップヌードルは高すぎ」を覆した、戦略とビジネスモデルの秀逸さとは写真はイメージです Photo:PIXTA

「戦略」と「ビジネスモデル」――。似たような文脈で活用されることも多い両者だが、それぞれを学んでおく意義はどんなところにあるのだろうか。1971年に発売されたカップヌードルが抱えていた課題の解決策を各図式に当てはめることで、それぞれの有用性について探ってみたい。(神戸大学大学院経営学研究科教授 栗木 契)

戦略とビジネスモデル
共通点と相違点とは?

 20世紀にマーケティングなどの実践から生まれ、定着している「戦略」と、21世紀になって新たに利用が広がる「ビジネスモデル」。この二つの共通点と相違点はどこにあるのだろうか。

 今回は、ケーススタディーを通じて探ってみよう。なお、ビジネスモデルの描き方としては、一橋大学の楠木建教授が提唱したビジネスモデルの構築法「戦略ストーリー」をサンプルとして用いたい。

 ケースの題材としては、1971年に発売されたカップヌードルが市場導入にあたって直面したマーケティング問題を取り上げる。まずは、この古典的なケースを、STPマーケティングの戦略図式のもとで振り返る。その上で、この戦略図式をビジネスモデルとして描き直してみる。

 ビジネスモデルだけでなく、戦略を共に学んでおく意義はどんなところにあるのか。カップヌードルのケースを基に見ていこう。