栗木 契
「戦略」と「ビジネスモデル」――。似たような文脈で活用されることも多い両者だが、それぞれを学んでおく意義はどんなところにあるのだろうか。1971年に発売されたカップヌードルが抱えていた課題の解決策を各図式に当てはめることで、それぞれの有用性について探ってみたい。

ビジネスモデルは、経営学の歴史の中では比較的新しい概念です。その登場の文脈を押さえることで、コロナ禍の今、ビジネスモデルを活用する必要性が増していることが浮き彫りになります。振り返ると、ネスレやノキアは10年ほど前に、ビジネスの主戦場となる市場や事業の枠組みのゲームチェンジに直面しています。乱世の今、示唆に富む事例です。

「マーケティングの失敗例」として紹介されることが多いコカ・コーラ社のニュー・コーク騒動。コーラの味を刷新した結果、苦情や抗議が殺到し、数カ月後に伝統的な味のコーラを復活するに至ったというエピソードである。しかし中長期的な視点で見てみると、あながち失敗とも言い切れないことが分かる。むしろ、当時のCEOが果たした役割から学ぶべき点も多いのである。
![有名なコカ・コーラの失敗例で、あまり語られない「その後」が重要である理由[見逃し配信]](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/2/1/240wm/img_213b07ccecb148d65a7044a0464e0897275561.jpg)
「マーケティングの失敗例」として紹介されることが多いコカ・コーラ社のニュー・コーク騒動。コーラの味を刷新した結果、苦情や抗議が殺到し、数カ月後に伝統的な味のコーラを復活するに至ったというエピソードである。しかし中長期的な視点で見てみると、あながち失敗とも言い切れないことが分かる。むしろ、当時のCEOが果たした役割から学ぶべき点も多いのである。

安定的に高収益を上げるビジネスモデルを確立するにはどうすればいいのか。ビジネスモデルを眺めているだけでは、見えてこないヒントがある。重要なのは、ビジネスモデル確立までを動的に考察すること。医療用機器メーカー「シスメックス」の成長物語を例に、ビジネスモデルへの「動的な理解」を深めよう。

企業や地域が、マーケティング・リフレーミングを進め、思考の罠を乗り越えていく。このようなプロセスを導くには思考の健全性が欠かせません。ではそのために、企業や地域のリーダーは、プロジェクトのメンバーにどのような思考をうながせばよいのでしょうか。連載の最終回の今回は、その一つの手法として、「ワールド・カフェ」をご紹介します。

企業や地域の強みが弱みに転じ、弱みが強みに転じていく。このような市場という場での企業活動を導くには、単にマーケティングに用いるデータや手法を増やすだけではなく、その背後にある顧客の行動や思考を読み解く解釈が重要となります。今回は、この解釈のフェイズにおいて、理論が果たす役割を振り返ってみたいと思います。

企業や地域の強みが弱みに転じ、弱みが強みに転じていく。企業のマーケティング担当者や地域のリーダーがこのプロセスを導くには、顧客との多面的な対話が欠かせません。その実践に取り組もうとする多くの企業や地域が、より多くの顧客データを収集し、データ武装を強化しようとするのは自然な成り行きです。

マーケティングの実践においては、競争を通じても、企業や地域の強みは弱みに転じ、弱みは強みに転じていきます。今回はマーケティングの実践において生じるに思考の罠の第3弾として、この競争を通じた反転が導くマーケティング思考の罠について検討します。
