トヨタの「いつかはクラウン」戦略が巧妙だったといえるワケPhoto: DarthArt/GettyImages

ビジネスを成功させる上で重要なカギを握るのが、「価格設定」です。実際の企業例を基に、価格設定の勝ちパターンを探っていきましょう。(ネットストラテジー代表取締役 平野敦士カール)

「価格設定」で成功したパターンを学ぶ

 価格設定の際には、その商品自体の代金だけなく、人件費や商品、サービスの利用に伴うハードルなどさまざまな要素を踏まえておく必要があります。これまで『ソニー損保・GE・マイクロソフト…事業の成否を分ける「価格設定」の鉄則』『プリンターとウオーターサーバーに共通する「儲けの仕組み」とは?』の2回にわたって、成功企業の「価格設定」のパターンについて解説してきました。

 シリーズ3回目に当たる今回は、成功企業の「価格設定」7パターンについて、その特徴を整理していきたいと思います。それぞれのパターンを自社のビジネスに適用した場合にはどうなるのか、想像しながら読み進めてみてください。

>>パターン1~4をおさらいする
>>パターン5~10をおさらいする

【パターン11】
デアゴスティーニモデル

 テレビコマーシャルでも有名なデアゴスティーニ。日本の城や特撮ヒーローなどの全集や、船や自動車のプラモデルがセットになった雑誌を「小分け」にして発売する方式で人気を博しています。一つの商品を分割して、少しずつ売るのが、「デアゴスティーニモデル」の特徴です。

 顧客にとってのメリットは、毎週届く楽しみが得られることや少ない小遣いでも買えることです。嫌になったら途中でやめられるので、最低限の出費で済みます。

 一方、デアゴスティーニとしても、大きく二つのメリットがあります。