「現金は王様」だ。特に弱気相場においては。日本の投資家は、企業が株主還元に積極的になっていることを喜んでいるはずだ。日本企業の自社株買いや配当の急増(これは安倍晋三元首相が進めた企業統治改革をきっかけに始まった)は、見通しが難しい現在の市場においてもペースが落ちていない。TOPIX構成銘柄企業の5月の自社株買い設定金額は過去最高の3兆円だった。ジェフリーズによれば、今年度(2022年4月~23年3月)の最初の2カ月の自社株買いの総額は、既に前年同期を73%上回ることになる。配当額も(ほぼ過去最高水準に)増加していることもあって、株主への還元額は今年度、過去最高の27兆8000億円に達する可能性があるという。ソフトバンクや任天堂などの企業がこれまでに自社株買いを発表している。