米連邦準備制度理事会(FRB)が口を開けば、市場は耳を傾ける。問題は、FRBがしゃべり過ぎることだ。今こそガイダンスの提示をやめ、政策担当者が経済動向にどう反応するかを投資家が確実に理解できるよう注力すべき時だ。13日には、FRBのコミュニケーションにおいて望ましい側面が見受けられた。インフレ統計が想定からさらに上振れると、1984年以来となる1ポイントの大幅利上げの可能性をほぼ完全に排除していた市場は、これを五分五分で織り込むところまで迅速に軌道修正した。投資家はインフレ退治を優先するFRBの姿勢を理解しており、来週開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定で動揺する公算は小さい。しかし、この記録的なインフレ高進という厄介な状況は、そもそもFRBのコミュニケーションの悪い面が招いたものだ。エコノミストがしきりに「フォワードガイダンス」(他にどのようなガイダンスがあるというのか)と呼ぶものこそが、物価圧力が高まる中でも金利があまりに長く低水準に据え置かれた要因だ。ところが、足元のガイダンスでは、たとえリセッション(景気後退)によって従来通りインフレの脅威が取り除かれるとFRBが考えていても、金利を過度に高い水準に維持するようFRBの手足を縛る恐れがある。
さらばガイダンス FRBは戦略の練り直しを
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