ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナに戦争を仕掛ける一方、欧州にも「第2戦線」を展開している。天然ガスを巡る戦いだ。
ロシアが近く、保守点検作業のため10日間にわたって閉鎖していたパイプラインを稼働させてガス供給を再開するのか、欧州諸国はかたずを飲んで見守っている。プーチン氏は19日、ガス供給の義務を果たすと表明したが、制裁措置でパイプラインの保守点検がさらにできない状況になれば、供給が制限されるとけん制した。
ロシアは数カ月にわたり、稼働能力を大きく下回る水準まで欧州向けのガス供給を絞っており、欧州首脳はロシアが国営エネルギー大手ガスプロムを使って欧州にゆさぶりをかけていると非難している。ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長は20日、「ガスプロムは全く信頼できないサプライヤーであることが判明した」と指摘。「ガスプロムの背後にはもちろんプーチンがいる。そのため、何が起こるのか予測できない」と述べた。