米国のベンチャーキャピタル(VC)による新興企業への投資減速が鮮明だ。成長ステージが初期段階にある企業にも波及し、過去10年余りで最も大幅な投資の減少に見舞われている。
ピッチブック・データによると、VC企業は4-6月期に米国のアーリーステージのスタートアップ企業の(シリーズAやシリーズBと呼ばれる)資金調達ラウンドに約160億ドル(約2兆2000億円)を投じた。これは前年同期比で22%の減少だった。四半期ごとのアーリーステージ投資額としては、少なくとも2010年以降で最大の減少幅となった(新型コロナウイルスの影響で一時的に投資が落ち込んだ2020年4-6月期を除く)。
低調な資金供給は、投資家の間で、創業間もない企業のようなリスクの高い投資に警戒感が高まっていることを示す。これはVC間の競争が激しく、より一層早い段階のスタートアップ企業に投資する傾向があった過去数年のセンチメントとは一変。より後期段階のスタートアップ企業への投資にブレーキがかかったのに続く動きだ。株式上場が近い後期のスタートアップ企業は、株式市場の変動の影響をさらに受けやすい。