ECBのアメとムチ、使いこなせるかは別問題Photo:picture alliance/gettyimages

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 欧州中央銀行(ECB)は、「必要なことは何でもする」から「したいことは何でもする」に方針転換したようだ。

 ECBは21日、インフレ退治に強くコミットする姿勢を示すため、2011年以来となる利上げに踏み切った。皮肉なことに、マリオ・ドラギ氏はこの日、イタリアの首相を辞任した。この人こそ、その年にECB総裁に就任し、ユーロを救うために「必要なことは何でもする」と宣言し、各国の中央銀行当局者にコミットメントを表明することの重要性を教え込んだ人物だ。

 だが今回、投資家は困惑するばかりだ。7月の会合では政策金利を過去最低のマイナス0.5%からマイナス0.25%までしか引き上げないと言っていたではないか。それなのに2倍も引き上げてしまった。ユーロとユーロ圏の国債利回りはいったん急上昇した後、下げに転じた。