欧州中央銀行(ECB)は21日、ついにインフレとの戦いに加わった。クリスティーヌ・ラガルド総裁が0.5ポイントという予想外の大幅な利上げに踏み切ったことは称賛すべきだ。とりわけ、イタリアのマリオ・ドラギ首相が同日辞任したことで、ECBが引き続き管理する必要があると考えるリスクが浮き彫りになっているためだ。ECBの利上げは11年ぶりで、8年にわたるマイナス金利政策が終了する。中銀預金金利は直近でマイナス0.5%だった。今週メディアで報道されるまで、ECBは今月と9月にそれぞれ0.25ポイントの利上げを実施すると誰もが考えていた。市場に驚きを与えようとするラガルド氏の姿勢は、ユーロ圏の深刻なインフレ問題を物語っている。6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)と対照的なラガルド氏のハト派的姿勢を映してユーロ安が進み、対ドル相場は先週、1ユーロ=1ドルの「パリティー(等価)」を割り込み、輸入インフレがさらに加速する可能性が高まった。