何でも扱う「エブリシング・ストア」を掲げる米アマゾン・ドット・コムだが、そこに医療も加えるという野望は同社史上最も難しい取り組みになる可能性がある。アマゾンは「ワン・メディカル」の名称で初期診療(PCP)サービスを手掛ける米ワンライフ・ヘルスケアを買収することで合意。全米約20市場の診療所180カ所余りと医師を獲得することになった。この39億ドル(約5400億円、債務含む)規模の買収は、2019年に進出したばかりの雇用主向け医療サービス分野での事業拡大につながる。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)をはじめとする経営陣は、医療に新風を吹き込むと宣言している。だが、この業界はアマゾンがこのところ成長を遂げている娯楽、広告、スーパーマーケットといった事業よりも複雑かつ分散している。成功するには、成長の鍵となる医師の獲得や規制対応で長年の経験を持ち、定着したライバルを打ち負かす必要がある。