筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。私はこれまで数多くの、そしてさまざまな調査を取り扱ってきました。依頼内容のほとんどが浮気や不貞の調査です。しかし、数年前から違う相談内容が増えてきています。それは被害者が自殺に追い込まれるなど、痛ましい事件として話題に上ることも増えてきた、「ネットでの誹謗(ひぼう)中傷」に絡むものです。今回は同様の被害を受けた方が対処のヒントになるよう、実際にあった調査内容を引き合いに、守秘義務の範囲内でご紹介します。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳、登場人物はすべて仮名)
セミナー事業に人生を懸ける30代男性
SNSでとんでもない事態に
依頼者の川中さん(39歳、男性)の仕事は、ビジネスセミナーの主催・運営・講師です。数人のスタッフとともに自らが体験し構築したビジネスへの向き合い方や、最大限の成果を上げる方法など、独自の理論で人が楽しく生きられるための思考方法をまとめたセミナーは、年を追うごとに参加者が増えていったそうです。そうなると運営に携わるメンバーも募集して組織が大きくなります。
組織が大きくなると、考え方の違いから辞める人や、中には私腹を肥やそうと良からぬ動きを始める人も出てきます。たとえば、運営資金の横領を企むメンバーの存在が発覚したので、未然に防ぎ解雇したりしたそうです。そのメンバーは、悲しいかな立ち上げから苦楽をともにした最古参のメンバーである大山氏(48歳、男性)だったそうです。信頼し切っていたメンバーの離反に心が折れそうになりながらも、他のメンバーに励まされ川中さんはセミナー事業に人生を懸けていました。