人材育成やチームの目標達成、部下とのコミュニケーション…リーダーにはさまざまな責務がのしかかる。悩みを抱えていないリーダーなどいないだろう。
そこで参考になるのが、リーダーシップの世界的権威で、全世界でシリーズ累計1800万部を記録するベストセラー著者、ジョン・C・マクスウェル氏の『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』だ。本書は、「世界一のメンター」として知られるマクスウェル氏が、優れたリーダーになるための「21の原則」をあますことなく公開している。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、部下から好かれる「コミュ力の高い上司」がやっている4つのことを紹介する。(構成/根本隼)
米・レーガン元大統領の「ずば抜けた能力」とは?
多くのアメリカ大統領はコミュニケーションの達人として、国内に大きな影響を及ぼしてきた。ジョン・F・ケネディ、フランクリン・ルーズベルト、リンカーンは特に有名である。
しかし、私たちが生きた時代にコミュニケーションの達人と呼ばれた大統領と言えば、ロナルド・レーガンの名前を挙げないわけにはいかない。
レーガンはすぐれた大統領だった。明確なビジョンを持ち、素早く決定を下し、その遂行をその分野の適任者に手際よく委任した。
しかし、彼が偉大なリーダーだったのは、コミュニケーション能力がずば抜けていたからだ。国家の指導という点では、人びとは彼がどういう人物で、どんな立場にあり、何を望んでいるか知っていたから、一刻も早くいっしょに取り組みたいと願った。
人びとがついていきたいと思うリーダーにまで彼を成長させたのは、ひとえにそのコミュニケーション能力だった。
コミュニケーション能力次第で「部下に好かれるか」が決まる
レーガンのように国家のリーダーになろうと考えていない人でも、コミュニケーション能力を身につける必要がある。結婚生活、仕事、人間関係における成功は、それによって大いに左右されるからだ。あなたが何を望み、どこを目指しているかがわからなければ、誰もあなたについていこうとは思わない。
次の4つの原則に従ってみよう。コミュニケーションがより円滑になるはずだ。
1)メッセージを簡潔にする
何を話すかだけがコミュニケーションではない。どう伝えるかも大切な要素だ。円滑なコミュニケーションのカギは簡潔さにある。
難解な言葉や複雑な文章で人びとを感じさせようなどと思ってはいけない。人びととつながりを持ちたいなら、とにかく簡潔なコミュニケーションを心がけることだ。たとえばナポレオンは大臣たちに「明快に、明快に、明快に」と言い続けた。
2)相手のことを考える
コミュニケーションの達人は、相手に焦点を絞る。語りかけている相手について何も知らないなら、円滑なコミュニケーションなど成立しないことを知っているからだ。対象が個人であれ集団であれ、コミュニケーションをするときは次の質問を自分に投げかけよう。
・誰に話しているのか
・相手は何を質問しているのか
・このコミュニケーションの目的は何か
・時間はどれだけあるのか
3)真実を示す
円滑なコミュニケーションを図るうえで前提となるのが信頼である。相手の信頼を勝ち取るには2つの方法がある。
まず、自分が言っていることを信じることだ。普通の人でも燃えるような確信を持てば、コミュニケーションの達人になれる。次に、自分が言っていることを実行することだ。確信が行動となって表れていれば、それにまさる信頼性はない。
4)反応を求める
コミュニケーションをするとき、すべてのコミュニケーションの目標は行動だということを忘れてはいけない。大量の情報を相手に押しつけるだけでは、コミュニケーションしていることにはならない。
人びとに話しかけるときは、感じたり実行したりできるよう心がけよう。それができるようになれば、あなたのリーダーとしての実力は飛躍的に伸びる。
(本稿は、『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』より一部を抜粋・編集したものです)