人材育成やチームの目標達成、部下とのコミュニケーション…リーダーにはさまざまな責務がのしかかる。悩みを抱えていないリーダーなどいないだろう。そこで参考になるのが、リーダーシップの世界的権威で、全世界でシリーズ累計1800万部を記録するベストセラー著者、ジョン・C・マクスウェル氏『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』だ。本書は、「世界一のメンター」として知られるマクスウェル氏が、優れたリーダーになるための「21の原則」をあますことなく公開している。本稿では、本書の内容の一部をご紹介する。(執筆・構成/根本隼)

「部下に好かれる上司、嫌われる上司」決定的な違いとは?Photo:Adobe Stock

リーダーにはさまざまな悩みがつきまとう

 かつての常識だった「年功序列」という組織のあり方が古いものとなり、勤続年数や年齢に関係なくリーダーを任されることがいまや当たり前になりつつある。

 仕事の業績や人柄を評価されてリーダーに抜擢されるのは喜ばしいことだ。しかし、部下との接し方や組織のまとめ方など、いちプレイヤーだったときとは全く異なるタスクをどうクリアしていけばよいのか分からず、困ってしまう人も多いだろう。

 ラーニングエージェンシーが2020年に発表した「管理職の意識調査」(※)によると、管理職の悩みランキングの1位は断トツで「部下の育成」(50.5%)だった。次いで、「チーム・部門の運営」(24.9%)や「部門の目標達成」(21.4%)、「部下とのコミュニケーション」(19.6%)などがランクインしている。いずれも、リーダーになって初めて直面する課題だ。

※出典:【ラーニングエージェンシー「管理職の意識調査」】

 また、同調査で「特に悩みはない」と答えた人はわずか2.7%。ほとんどの管理職が、何かしらの悩みを抱えているのだ。

「ついていきたい」と慕われるリーダーになるには?

 では、リーダーとしてやるべきことを確実に達成し、周囲から「ついていきたい」と慕われるには、何をすればよいのだろうか? その答えを教えてくれるのが、リーダーシップの世界的権威で全世界でシリーズ累計1800万部を記録するベストセラー著者のジョン・C・マクスウェル氏『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』だ。

 本書は、「世界一のメンター」として知られるマクスウェル氏が、優れたリーダーになるための「21の原則」を明かした1冊。「いっしょに仕事をしたい」と思ってもらえるコミュニケーションのコツや、プレッシャーに打ち勝つ「メンタル強化法」など、リーダーシップを高めるヒントが満載だ。

「部下に好かれる上司、嫌われる上司」決定的な違い

 例えば、マクスウェル氏は「対人関係能力を持っていなければ、すぐれたリーダーには決してなれない」と述べる。

 人は誰でも仲良くやっていける「協調性」がある相手といっしょに働きたいと思うもの。そのため、人間関係でうまく立ち回れない上司は部下から嫌われ、組織をうまくまとめられずに結果を残せない。

 そのうえで、リーダーが対人関係能力を磨くためには、以下のような認識と対応が必要だとマクスウェル氏は語っている。

・人間というものは、自分が特別であると感じたがっている。だから、誠実な気持ちで彼らをほめよう
・人間というものは、方向性を求めている。だから、彼らに代わって舵をとろう
・人間というものは、自己中心的である。だから、真っ先に彼らのニーズに応えよう。
・人間というものは、成功を欲している。だから、彼らが勝つのを手伝おう。

 リーダーの振る舞い次第で、組織は成長もすれば衰退もしてしまう。次回以降は『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』より一部を抜粋・編集し、チームをより良い方向に導くメソッドを紹介する。