外交政策での経験を売りにして米大統領選挙を戦ったジョー・バイデン大統領は、何年にもわたって醸成されてきた国際的な課題に直面している。それには、9・11米同時多発テロ事件の首謀者の1人を殺害する軍事攻撃の決断、外交面での中国との対立、6カ月目に入ったウクライナでの戦争などが含まれる。国際テロ組織アルカイダの最高指導者、アイマン・ザワヒリ容疑者の殺害に成功したアフガニスタンでの米軍のミサイル攻撃を承認したことに関し、バイデン氏は超党派の称賛を浴びた。ザワヒリ容疑者は、聖戦を教義に掲げるアルカイダの創設メンバーであり、米同時多発テロへとつながった一連の国際テロ計画を背後で指揮してきた主要人物の1人でもあった。しかし、大混乱の中での米軍のアフガン撤退から1年近くを経て実行された今回の攻撃は、アルカイダとアフガンのイスラム主義組織タリバンとの間で続いている協力関係や、米軍のアフガン撤退を決めたバイデン氏の決断に関する疑問を改めて浮上させるものでもあった。