ナンシー・ペロシ米下院議長は、トラブルに巻き込まれることなく、現地時間の2日夜に空路台北に到着した。そのこと自体は、喜ばしい。しかし、もっと大きな試練は、訪問終了後に訪れる。そして、中国がどんな対応を取るかということだけが試練の要因になるのではない。ペロシ氏の台北訪問の情報が(無益にも)リークされたことで、中国が脅しをかけてきた。それでもペロシ氏が訪問をやり遂げたのは正しかった。訪問の時期が「悪い」と発言した者たちは、中国政府が許容する「正しい」時期がいつなのか、われわれに示すことができないだろう。米バイデン政権が、トラブルに備えて台湾の近くに戦力を展開していたのも、賢明な対応だった。中国政府は2日、怒りの言葉と、内容の明示がないままの軍事的脅しという反応を示したが、直接的な軍事衝突は起きなかった。しかし、中国外務省の声明で示された主要な抗議内容が、ペロシ氏の訪台は「台湾当局と米国による(台湾問題での)現状変更」の試みであるというものだったことから、今後何日間かで状況が変わるかもしれない。