先進国のユーザーらに絶大な支持を得てきたiPhoneだが、今後は成長する新興国のシェア拡大が課題となる
Photo by Naoyoshi Goto

 鮮やかな色のバリエーションをそろえた、低価格のiPhoneは本当に登場しそうだ──。

 正月明け早々、米アップルの経営をめぐって、おびただしい数のニュースや観測が国内外を飛び交っている。

 同社は昨年9月下旬にスマートフォンの最新作であるiPhone5を発売。しかし週刊ダイヤモンド1月19日号でも取り上げた通り、12月に入ってから出荷スピードが伸び悩み、アップル向けに売上高の多くを依存する日本の部品メーカー大手も、年明けから30%ほどの減産という“iPhoneショック”に見舞われている。

 実際、発売直後には上場以来最高値となる705ドル前後を付けた株価も、今月14日には1年ぶりに500ドルを割り込んだ。売上高の半分を占めるiPhoneという成長エンジンが永遠なのか、市場関係者の疑問を反映したものだ。

 そんな中、さらに注目を集めているのが、2007年の発売以来初めて、iPhoneに廉価版のラインアップが加わるのではないかという話だ。

 アップルのサプライチェーンに詳しい専門家によると、iPhone5のモデルチェンジが計画されている今年7月ごろに、廉価版も同時に発売する。

 これまで金属製だった筐体の素材を、一部プラスチック樹脂などにして、外装は6色のケースを用意。価格は350~450ドルと約半分になるという。

 過去にも廉価版の存在については、さまざまな観測報道があった。しかし、これまでと異なるのは、アップルを取り巻く環境が以前とは違うという点。前述の通り、アップルの市場シェアが伸び悩んでいることだ。

 調査会社IDCによると、世界のスマートフォンの出荷台数シェア(12年7~9月期)は、アップルが14.6%に対して、韓国のサムスン電子は31.3%と大きく引き離した。