過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、2021年11月にIVS那須で開催された「起業家の別解力」をテーマとしたディスカッションの内容をお伝えします。

コロナ真っ只中に「海外旅行」で起業した社長の「勝算」の見つけ方

30年後の海外旅行は100%戻る

篠塚孝哉(以下、篠塚):僕は今、令和トラベルという会社をやらせてもらっています。

もともとは2007年にリクルートに入社して、「じゃらん」の事業部にいました。2011年にLoco Partnersを創業し、「Relux」というサービスを始めるんですが、KDDIグループに入り、去年(2020年)の3月に退任するまで、ずっとやっておりました。大体予約流通額で年間200億円以上ですね。社員メンバー200人ぐらい、会員数、今日(2021年11月)時点で300万人ぐらいのサービスでした。

この1年間は、何をやろうかなと、まさに別解力を考え続けていた1年間だと思います。メルカリの山田進太郎さんと仲よくさせてもらっていて、「(社長を退いてから)1年間何をしていたんですか?」と聞いたことがあります。「世界を旅してずっといろいろなことを考えて、これからどうなるのかな、みたいな話をしていた」とおっしゃっていました。僕も同じことをしたかったんですけど、ご存じのとおりコロナで海外旅行はどこも行けず、日本国内を回ったり、アートを勉強したり、ワインを勉強したりしながら、次のテーマを探していました。

去年の秋ぐらいに、「海外に行けない」とずっと思っていて、「そういえば海外旅行事業ってどんな感じなんだろう」と思い、調べたら「海外旅行ってめちゃくちゃでかいな」とビビビと来たんです。

当時、コロナで日本人がほとんど海外渡航をしない月があったりして、マーケットは完全クラッシュしている。まず考えたのは、「30年後の海外旅行は戻るか」です。そのときに100%戻るって断言できたんですね、僕の中で。じゃあ、明日の海外旅行は戻るかなと思ったら、100%戻らないと。つまり明日から30年後までを考えたときに、必ず誰かしら経営者の力によって100%に戻る日がくると確信したので、この領域に張ってみたらチャンスなんじゃないかなと思って始めました。
ミッションとビジョンしかまだ掲げてないんですが、新しい旅行を作っていきたい、デザインしていきたいということで始めて、アジアを代表するデジタルトラベルエージェンシーになると。よく言われる自動化オートメーションですよね。これを徹底的にやりきりたいなと思って始めました。

Reluxと令和トラベルの大きな違いなんですが、Reluxのときは、いわゆる高級宿のOTAと呼ばれるオンライントラベルエージェンシーのマーケットでしたが、大体4000億円ぐらいの市場規模で、6年で流通額200億円超が作られたと。なので、次はもっと大きな海外旅行マーケット、4.4兆円ぐらいある中で5年で流通額1000億を作りたいという思いで立ち上げました。