「モノ」に時間をつかうために逆算する

平尾:篠塚さんクラスになると、シリアルアントレプレナーなので「強くてNEW GAME」のような方だから、20億円も集まっちゃうわけですね。だから、気合いを入れたら、3桁~4桁億ぐらい集まるので、そのお金で人件費をかけてやるのかなと思っていました。

篠塚:でも、そこはありますよ。別解力の話で言うともう一個、この話をしたいなと思ったのが、社長の仕事って「ヒト・モノ・カネ」」とあと「管理」の四つの区分があるなと思っていて。スタートアップ始めた瞬間って全部がバランスよく襲ってくるので、本来「モノ」に一番時間使いたいのにあるとき「カネ」が炎上したりとか、もっと、「モノ」に集中して考えたいっていうときに、「ヒト」の部分で採用や組織が大変だったりすると思うんですよね。

「モノ」に時間を使うためにどうしたらいいかなっていうとこから逆算して、今回経営戦略を考えたんです。最初まず人の部分はCHROを1人絶対最初に入れようと決めて、リクルートの同期の子なんですけど、13、4年ずっと人事だけやってたメンバーが入ってくれて、ヒトがまず楽できるようになった。僕は今、ほとんど最終面接以外、時間を使わなくていいと。社員の組織マネジメントもやってくれている。今度カネですよね。お金は繰り返しなんですけど、最初に一定額を調達すれば、向こう3、4年ぐらい調達にかかる時間がなくなると計画をして、これでお金も時間も使わない。管理は最初から監査役を入れて、社外取締役も入れてガバナンス、管理、経理、財務、法務、庶務、労務全部作っちゃって、出戻りゼロにしようと。

結果的にモノに集中して考えられるという体制を作れたんです。これが多分通常の解でいくと、ちゃんと社長がバランスよく全部やろうねとか、社長が全部見なきゃだめだ、みたいな話なんですけど。平尾さんの考えとは違うかも知れませんが、社長はプロダクトのヘッドであるべきだっていうのが僕なりの別解だった。

平尾:面白いですね。いろいろな答えがあっていいよというのが別解力です。

篠塚:こういった戦略でやってきたのが今です。海外旅行に行くときは、ぜひ思い出していただけたらなというふうに思っています。

篠塚孝哉(しのづか・たかや)

株式会社令和トラベル代表取締役社長

2011年株式会社Loco Partnersを創業、2013年に宿泊予約サービス「Relux」を開始。17年春にはKDDIグループにM&Aにて経営参画、最年少子会社社長(当時)として経営執行を担う。2020年3月にLoco Partnersの社長を退任。2021年4月、株式会社令和トラベルを創業。同年6月には、シードラウンドで22.5億円の大型資金調達を実施。「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに海外旅行代理業を展開。2022年4月、海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」をリリース。

【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。

1ページ目2段落目:
大体流通額で年間200億円以上ですね。→大体予約流通額で年間200億円以上ですね。

1ページ目3段落目:

メルカリの山田進太郎さんとすごく仲良くさせてもらっていて→メルカリの山田進太郎さんと仲良くさせてもらっていて

1ページ目5段落目:
現在、コロナで日本人がほとんど海外渡航をしない月があったりして→当時、コロナで日本人がほとんど海外渡航をしない月があったりして

1ページ目6段落目:
4.4兆円ぐらいある中で5年で流通額1000億を作りたいという意思を込めて、1枚のスライドだけで10分ぐらいかけてVCさんを回っていたら、資金調達が20億円ぐらいできたっていう感じなんです。本当に何もない状態で。僕、絶対5年で流通1000億いきますって言い続けて、調達させてもらいました。→4.4兆円ぐらいある中で5年で流通額1000億を作りたいという思いで立ち上げました。

2ページ目1段落目:
Relux時代の説明をしたいなと思います。→今回は、Relux時代の説明をしたいなと思います。
(※なお、当日はまだリリースしていなかったが、現在は海外旅行予約アプリのNEWTをリリースしている。https://newt.net/)→記事末から本文「今回は、Relux時代の説明をしたいなと思います。」の後に移動。
まず、デバイスはかなり反対側を目指したというか→当時は、デバイスはかなり反対側を目指したというか

2ページ目2段落目:
あとは価格ですね。じゃらんさん、楽天トラベルさん、一休さんとかと比べて、→あとは価格ですね。競合サービスと比べて

2ページ目7段落目:
JTBさん、HISさんが決算発表されていますけど→大手海外旅行代理店さん決算発表されていますけど

(2022年8月30日16:00 書籍オンライン編集部)