ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がジャクソンホールで開催された年次シンポジウムでタカ派的なメッセージを発したのを受けて、株式市場は26日、急落した。投資家が聞きたい内容ではないとしても、彼の言っていることは正しい。パウエル氏は「物価安定の回復には、制限的な政策スタンスをしばらく維持することが必要になる可能性が大きい」との見解を示した上で、「過去の記録は、時期尚早な緩和政策を避けるべきだと強く警告している」と指摘。FRBは1970年代に金融引き締めの停止と再開を繰り返した結果、インフレの痛みを長引かせ、その克服を一層困難にさせた過ちを二度と繰り返さないと話した。パウエル氏の今回の厳しい発言は、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に、景気を刺激も抑制もしない「中立的な」金利水準が予想外に低いことを示唆した自身の過ちを埋め合わせるためのものだった可能性がある。投資家は当時、パウエル議長のインフレ抑制への決意が弱まりつつあり、金融引き締めが予想外に早く終わるだろうとの印象を受けた。市場は急反発した。
【社説】パウエル議長の正直な「痛み」発言
FRBの抑制ペースが速いほど、市場にとっては好ましい
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