筆者はハトに対してこれといった感情はない。ニューヨーク市内では車に置かれた駐車違反切符と同じくらい、どこにでもハトがいる。彼らは筆者がスマートフォンをつついても平気だし、筆者は彼らが地面に落ちて踏まれたピザの断片をつついても平気だ。自分はハトを連れ歩く気には到底なれない。だが明らかに違う感情を持つ人たちがいる。英ファッションブランド、JWアンダーソンが890ドル(約12万円)で発売した3Dプリント樹脂でできたクラッチバッグ「ピジョン・クラッチ」を見れば分かる。水かきのある茶色い足、ビーズのような琥珀(こはく)色の目、「翼」にはオレオのような色のしま模様が走り、体つきは引き締まっている(一方の翼を持ち上げるとモノが収納できる)。見た目はそう、ハトそのものだ。マンハッタンの大通りマディソンアベニューに置けば、観光客がびっくりしてシッシッと追い払うかもしれない。