中国民間銀行の株価は今年に入って急落しており、不動産部門の不振の影響が波及しつつある。中国最大の民間銀行である招商銀行と平安銀行の上海上場株は、年初からそれぞれ32%、25%下落し、合わせて680億ドル(約9兆4300億円)相当の時価総額が吹き飛んだ。これは不動産業界の減速が経済全体に及ぼしている問題の一端にすぎない。政府が2年にわたり債務圧縮を進めさせたことで不動産開発会社は痛手を負い、流動性がひっ迫。デフォルト(債務不履行)や建設プロジェクトの中断、新築住宅販売の大幅な減少を招いた。また一部の住宅購入者の間では、ローン返済を拒否する動きが広がっている。これは中国の銀行にとって悪いニュースだが、招商銀行と平安銀行は大手国有銀行以上に逆風にさらされることになる。光大証券国際の証券ストラテジスト、ケニー・ウン氏はこう話す。不動産資産の価値が目減りすれば、両行の住宅ローン事業が伸び悩むほか、顧客に販売してきた理財商品(資産運用商品)も痛手を被る。理財商品の一部は、不動産開発会社の債務に対するエクスポージャーを抱えているという。