ジョー・バイデン米大統領が今月に入り署名・成立させた「インフレ抑制法」は、薬価を標的にしている点がかなり物議を醸した。だが医療保険制度改革法(オバマケア)の助成期間を3年延長するという新法の別条項の方が医療保険制度に直ちに大きな影響を及ぼしそうだ。追い風を受けるのは主にセンティーンやエレバンス・ヘルスといった医療保険会社だろう。こうした保険会社は政府支援の継続を成長のよりどころにしており、助成金延長の恩恵は大きい。新型コロナウイルス禍は「大きな政府」の時代をもたらし、全米の保険未加入者の割合は史上最低の8%に下がった。これまで保険に加入していなかった人にはもちろん朗報だが、センティーンとエレバンスの収入も急拡大した。両社は公的医療保険の「メディケイド」といった低所得層向け医療保険事業で収入の大半を得ている。