大御所OBが語った
「今秋の早稲田は勝てる」理由
監督がバッティング投手を務める特打ちを、打者の背後からじっと見守るのはOBの徳武定祐だ。合宿全日程に帯同している。
御年84歳。野太く迫力のある掛け声が快音に重なる。伝説の「1960年秋の早慶6連戦」の時のキャプテン、4番打者だった。プロ野球でも活躍し、現役引退後は打撃コーチとして数々の名打者を育てた。いわばバッティングの伝道師である。
2022年の春季リーグ戦は打線が振るわない場面も目立った。秋への課題ははっきりしている。東京での練習、オープン戦を経て南魚沼へ乗り込んだ。
「早稲田の野球部を20年間見ているけど、この秋は勝てるぞ、という空気感がある。スタンドのファンからすれば、『早稲田、変わったな』という感じになるでしょう」
徳武はそう語る。
新型コロナウイルスの影響でしばらく合宿ができなかった。早稲田大にとっては2019年春の沖縄キャンプ以来である。夏合宿は小宮山が監督に就いてから初。今の4年生にとっても初めての合宿となる。
徳武は言う。
「合宿の実りは大きい。技術的な進歩ももちろんあるけど、チームに一体感をもたらす。部員たちの距離感がぐっと縮まるというのかな。一緒に寝起きして同じ釜の飯を食べて。より一層、チームが一丸となることができた」
どのチームにもいえることなのだろうが、特に早稲田の場合、合宿の効能は見逃せないものだという。