ミハイル・ゴルバチョフ氏が30日、死去した。91歳だった。旧ソ連時代、まさに世界が必要としているときに登場した、逆説的な指導者だった。当初はほぼ全権を握っていたが、その権力を弱める改革に踏み切った。共産主義体制のトップに上り詰めたにもかかわらず、その体制を終焉(しゅうえん)へと導いた。最大の功績は、世界が何十年も恐れていた戦争やそれ以上にひどい焦土をもたらすことなく、冷戦を終結させたことだ。ゴルバチョフ氏は「ペレストロイカ」(再建)と「グラスノスチ」(情報公開)を推進したことで知られる。スターリン主義や全体主義を特徴とする共産党支配が何十年も続いた1980年代には、こうした概念は過激と受け止められた。だがソ連時代の第8代にして最後の指導者は、自由民主主義の信念に基づいてこれらを導入したわけではなかった。
【社説】ミハイル・ゴルバチョフ氏 1931~2022年
レーガン、ブッシュ両氏と冷戦を終結に導いたソ連の改革者
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