欧州のエネルギー危機が自然界の基本的な力を研究する実験を遅らせる恐れがある。欧州原子核研究機構(CERN、スイス)のエネルギー管理委員会セルジュ・クローデ委員長は、粒子加速器の一部について、電力需要のピーク時に停止させる計画の策定を進めていると述べた。CERNは、世界最大の加速器である大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を必要に応じて停止させる方法も検討しているという。クローデ氏は「われわれが懸念しているのは、送電網の安定性だ。地域で停電が起こらないようにできる限りのことをしている」と述べた。今回の動きは、欧州のエネルギー依存を経済戦争の武器に変えようとするロシア政府の動きが、幅広く影響を及ぼしていることを示している。ロシア国営のエネルギー会社ガスプロムは2日、欧州への天然ガスを供給するパイプライン「ノルドストリーム」の稼働を無期限に停止すると発表した。