リズ・トラス氏が5日、英首相の座を勝ち取った。われわれは今後、前任のボリス・ジョンソン氏が引き起こした経済とエネルギーの混乱から、トラス氏が保守党と国を救い出すことができるかどうかを注視することになる。トラス氏は一般の保守党員による投票で、対立候補のリシ・スナク前財務相を得票率57%対43%で破った。同氏は保守党内からは長年聞いたことのなかったマーガレット・サッチャー元首相流の経済メッセージで支持を集めた。最優先課題は減税だ。ジョンソン氏が打ち出した2.5ポイントの給与税率引き上げや法人税の19%から26%への増税の撤回などが含まれる。しかし具体的な政策案よりも重要だったのは、所得再分配ではなく経済成長こそが英国の抱える問題を解決でき、政府が指示するよりも民間企業に任せた方がうまくいくとトラス氏が強調したことだ。同氏はまた、ウォークネス(社会的不公正や差別への高い意識)を尊重する考えにも反対した。ウォークネス重視の考えは、英国のメディアや学界エリートの間に、米国とほぼ同じように幅広く浸透してきた。