スシロー、くら寿司が不祥事騒動でも2桁増収、かっぱ寿司を上回る「皮肉な現実」Photo:DIAMOND

コロナ禍だけでなく、円安や資材高の影響も相まって、多くの業界や企業のビジネスは混乱状態にある。その状況下でも、苦境を打破できた企業とそうでない企業との間で勝敗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はスシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIES、くら寿司、カッパ・クリエイトの「すし」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のすし業界3社。対象期間は2022年2~6月の直近四半期(くら寿司は22年2~4月期、その他2社は22年4~6月期)の直近四半期としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)
 増収率:20.0%(四半期の売上収益717億円)
・くら寿司
 増収率:19.9%(四半期の売上高429億円)
・カッパ・クリエイト
 増収率:1.7%(四半期の売上高168億円)

※くら寿司は22年10月期第1四半期(21年11月~22年1月期)から収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、影響が軽微なことも踏まえ、当社の開示方法に準じて増収率はその前後で連続性を持たせている。

 FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)は、今回扱う決算期の期間中である22年6月に「おとり広告」の問題が発覚。消費者庁から景品表示法違反を指摘され、再発防止を命じる措置命令を下された。

 くら寿司も同じく対象決算期に含まれる22年4月に、業績へ影響を与えそうな報道があった。山梨県甲府市の店舗で働いていた男性店長が、上司からのパワーハラスメントなどを苦にして店の駐車場で焼身自殺を遂げたと、「週刊文春」が報道。大きな反響があった(くら寿司側はパワハラと自殺の関連性を否定)。

 だが、ふたを開けてみれば、そのスシローとくら寿司はともに2桁増収を達成。特段の問題は起きていないカッパ・クリエイト(かっぱ寿司)の増収率を大きく上回る皮肉な結果となった。

 スシローとくら寿司が大幅増収となった要因は何か。また、イメージダウンを強いられた両社の業績は、果たして今後も安泰なのか。次ページで、時系列データを踏まえて詳しく解説する。